NPO法人 アジア留学生サポートセンター|アジアから日本に集まる留学生・実習生のサポート


日本を変えた4つの要因
バンコクラウンドテーブル講演 2013.12.1
埴 渕 久 志

今回アジアンラウンドテーブルがご当地タイのバンコクで開催されご招待された事に大変嬉しく思い、感謝しています。タイと日本は長いお付き合いがあり、1600年代初めには、日本人町もありました。山田長政という侍がアユタヤ王朝に仕え、スペインの侵略阻止に大きな貢献をし、アユタカ王朝にたたえられたそうです。

今2013年も後1ヶ月となりましたが、主要国のリーダーが5人も交替するという、真に「change」の激動の年でした。又、先月フィリピンが襲われた前例がない程の台風は、甚大な被害を与え、多くの犠牲者を出しました。心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます。
日本も内外共に変革の年でした。
日本を変えた4つの要因というテーマでお話したいと思います。

一つは、少しさかのぼりますが、日本人の生き方や価値観を変えたのは東北大震災でした。一瞬にしてあらゆる建造物を破壊して人命まで飲み込んでいった大自然の圧倒的力の前で、余りにも小さな人間の非力さ、何の前触れもなく、家族、友達を奪われた不条理な宿命は、「生と死」という命題に直面させられました。フィリピンの台風においても、最後まで人々を救出しようと誘導し自分は犠牲になった美しく、悲しい話を聞かされました。
日本の警察官、消防署員、役所の人々も、自分の命が尽きるまで一人でも多くの人を救わんとしました。そんな高潔な生き様死に様を見せられた日本人は、
豊さだけを求めて、物欲、肉欲、自己中心の生活から、本来の魂が覚醒させられました。大きすぎる代償でしたが、失いつつあった親子の絆、共同体との紐帯、「何かの為に生きたい」などの心をよみがらせました。

日本を変えた最大の要因は、安倍政権の樹立です。
「強くて美しい国、日本を取り戻す」とのスローガンは、決して選挙用の思いつきのキャッチコピーではありません。第一次安倍政権時には病気の悪化の為、ドクターと側近が必死で説得して、首相の座を志なかばにして断腸のの思いで辞したのです。その後毎年のように5人も首相が入れ替わり、ねじれ国会の中で重要法案も通らず、リーダー不在の意思決定が出来ない国家として、その存在感を失い、弱体化が加速していました。彼の「日本を取り戻す」というフレーズは物理的な領土の失地回復だけでなく、恐らく、「日本人の心、高い倫理観や、Public Mind (公儀の精神)などを取り戻したいとの意味もあったのではないでしょうか。彼は右翼であるとか、軍国主義者であるとかの風評もありますが、祖国を愛する、パトリアリズムはあっても、極めて多様、多元的思考を持ち、inclusiveなcapacityを持った人物であり、決して硬直的 narrow minded nationalistではありません。又「積極的平和主義」と言っていますが、「平和と反戦」をお経のようにチャンティングしていれば、国士も国民の生命も守れるというような、アイデアリストでもなければ、ユートピア幻想に陶酔するタイプでもありません。又、平和憲法があるから、戦争放棄の条項が守護霊のごとく、日本を守っているなどとは夢想だにしていません。現実主義的理想家です。それが平和の為にproactive Contributionをするとの意味です。彼の祖父である岸信介が首相の時、左翼の猛反対の中、命がけで、1960年、日米安保条約が締結されました。そのお陰で安全が保証されてきた事を誰よりも知っています。安全保障においては、日本もアジア全体と運命共同体です。超大国アメリカが財政破綻のリスクに陥り、限りなく軍事力を削減してゆけば、台頭する中国との勢力バランスが15〜20年後に崩れます。反戦平和主義、人道主義のオバマ政権は、rebalance アジア回帰とか宣言していますが、本音は、中東、アジア紛争に余り関与したくなく、山積する国内問題やオバマケアーに政治生命をかけたいと思っているのでしょう。

仮想敵国としての中国は、米国債のRoyal customerであり、Best trading partnerでもあります。frenemy(friend&enemy)の関係を続け、Pax Chaimerica(パクスチャイナ&アメリカ)として太平洋のコントロールを仲良くシェアーしたいのでしょうか?
習近平のChinese Dreamは我々、アジアン諸国にとってDreadful Dream
(悪夢)の実現となります。彼らにとって核心的利益となれば国際法も関係ありません。そんな国を相手にアメリカがアジアの平和と秩序を守る為にいつまでアジアに踏みとどまり、どこまで有事に至る前に関与してくれるのかが問題です。あるいは、パクスチャイメリカの覇権パートナーになるまでに中国が国際法を遵守して世界と協調し、互恵的相互関係が築けるような民主的近代国家に成熟しているかです。日本は、中国との関係を早く修復して、隣国が直面している、pm 2.5汚染対策とか、省エネ、水質浄化等、日本が先がけて直面してきた経験を生かし、中国、アジアに向けて的確なアドバイスや技術支援等に貢献し、アジア共同体の中で信頼され、尊敬される、国家になってゆきたいものです。

幸い強い求心力とリーダーシップを持つ安倍政権によってall Japanで結束しました。これからはall アジアの時代です。近代は、アングロサクソンが主導権を取り、ルールメイキング、制度設計を行ってきましたが、21世紀環太平洋時代は、我々が主体となって、相互繁栄、共存共栄の為にTPP、RCEP、のフェアなルールを作り、自由経済や財産権、人的交流、又、安全保障問題に関わってゆかなければなりません。そんな時代にふさわしいこの会議、アジアン・ラウンド・テーブルの存在意義は益々重要になってきます。
最後にもう一つ、日本を変えたポジティブな要因があります。
ここに参加されている国々も親日的友好国ばかりですから一票を投じて頂いたと思いますが、2020年の東京オリンピックです。オリンピックを通じた経済効果は3兆円とも言われています。長期に渡るデフレを何とか脱出でき、アベノミクスで円安、株高になった勢いを更に加速させる第4の矢とも言える、成長戦略の一つとなりました。それよりも大切な事は、これだけ多くの国々から日本は愛され、評価されたという喜びです。
自虐史観からの自縛から一気に解放され、国家の誇りと勇気が世界から与えられました。7年後は、オリンピックを楽しみ、世界遺産となった富士山を鑑賞して、又、食の無形文化遺産となった「和食」を堪能する為にぜひ来日してください。最高の「おもてなし」を約束します。ありがとうございました。